好きな日本映画(64)-「 東京物語 」

1953年 松竹
小津安二郎監督

日本が世界に誇る日本映画の傑作の一つ。小津安二郎監督が、戦後変わりつつある家族の関係をテーマに人間の生と死までをも見つめた深淵なドラマ。故郷の尾道から久しぶりに東京へ出てきた老夫婦。成人した子どもたちの家を訪ねるが、みなそれぞれの生活に精一杯だった。唯一、戦死した次男の未亡人だけが皮肉にも優しい心遣いを示してくれる。いまでは失われつつある思いやりや慎ましさといった日本の優しさを原節子が見事に演じている。妻に先立たれ、最後に家でひとり侘しくたたずむ笠智衆を捉えたショットは素晴らしいの一言につきる。